第10章 三年後(つづき)

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私たちは、やっぱり拗ねた息子を間に、クスクスと細く笑いあった。 そして、 「お母さんから、チュー」 私は、息子の柔らかな頬に唇を寄せる。 それに、嬉しそうな笑顔を作った優喜が、 「ぼくも、チュー!」 小さな唇が、私の頬に押し当てられる。 「じゃあ、お父さんも」 今度は彼の唇が息子の反対の頬に寄せられ、やっぱり、 「ぼくもっ!」 息子の唇が、彼の頬に押し付けられた。 そして三人、みんな笑顔になったところで、 「じゃあ、お父さんとお母さんから優くんに」 彼の両頬に、私たちは互いの唇をそっと寄せる。 キャハハハッ!  可愛い笑い声が、私たちだけを迎えている公園に広がった。 春は、まだほんの入り口。 けれど私たち家族は、いつも幸せいっぱいの春爛漫。 そして、これからもずっと私たちの間には、 大好きな彼のスマイルのように、温かく、優しさが溢れるはず。 それが、私の幸せの全て。 だから、心の底からそう信じてる。 ~ fin ~
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