第10章 三年後(つづき)

3/26
前へ
/38ページ
次へ
「ナッちゃん、会議はどうだった?」 駅へと向かいながら、スヤスヤと眠る優喜を抱いた彼に尋ねられる。 そんな彼を見上げて、私は微笑んだ。 「うん、今回はバッチリ。 プレゼンも上手くいったし、私たちの企画が採用になったよ。 冠くんは?」 「僕は、順調に進んでいるものの単なる報告だから。 でも、ちょっと順調過ぎたみたい」 淡く浮かんだ彼の苦笑が、小さく俯く。 「何かトラブル?」 尋ねると、どうやら彼の新しいソフト制作が順調なだけに 別の人の助っ人も頼まれてしまったらしい。 「まぁ、時間がないわけじゃないからいいんだけど。 でもそれなら僕は、ナッちゃんや優喜と一緒のほうがいいなって思うし」 やっぱり彼は、どこか不満そう。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加