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そして、彼の腕の中でちょっと後ろを振り返ると、
本当に拗ねた彼の顔が、上目遣いに私を見返してきた。
「だって、こうやってナッちゃんをギュッてしてると
優喜がヤキモチ妬いて割り込んでくるし。
エッチしてても、ちょっとした物音で優喜が起きたかもって
ヒヤヒヤするでしょ?」
「それは、仕方ないわよ」
だが、苦笑を返した私の目の前で、
彼は、益々、不服そうに膨れっ面になっていく。
「でも僕、時々は、こうやってナッちゃんを独り占めしたい」
私は、そんな彼の頬をそっと片手で包んだ。
「私は、今でも冠くんが一番好きよ」
「知ってるけど、でも僕、やっぱりナッちゃんが全然足らない」
掌の中でわずかに俯く彼は、本当に子供のよう。
だから、
「じゃあ、毎年お泊り保育の時は、お家デートしよう?」
提案してみるが、戻ってきたのは、やっぱり不満げな顔。
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