番外編  独り占め記念日

8/12

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
そして、彼の腕の中でちょっと後ろを振り返ると、 本当に拗ねた彼の顔が、上目遣いに私を見返してきた。 「だって、こうやってナッちゃんをギュッてしてると 優喜がヤキモチ妬いて割り込んでくるし。 エッチしてても、ちょっとした物音で優喜が起きたかもって ヒヤヒヤするでしょ?」 「それは、仕方ないわよ」 だが、苦笑を返した私の目の前で、 彼は、益々、不服そうに膨れっ面になっていく。 「でも僕、時々は、こうやってナッちゃんを独り占めしたい」 私は、そんな彼の頬をそっと片手で包んだ。 「私は、今でも冠くんが一番好きよ」 「知ってるけど、でも僕、やっぱりナッちゃんが全然足らない」 掌の中でわずかに俯く彼は、本当に子供のよう。 だから、 「じゃあ、毎年お泊り保育の時は、お家デートしよう?」 提案してみるが、戻ってきたのは、やっぱり不満げな顔。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加