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「でも、今日は普通の日でしょ?」
溶かされ始めた私も少し艶を帯びた声で言うと、
再び、ゆっくりと彼が唇を重ねた。
そして、
「違うよ」
また、ねっとりと濡れ音をさせて唇を離した彼が、コツンと額を合わせる。
「今日は、僕の初めての『独り占め記念日』。
特別な日になったから、いいでしょ?」
もう、やっぱりこの可愛い上目遣いには敵わない。
だから私も、やっぱりいつも通りに細く笑ってしまう。
フフッ……。
その唇に、小さく彼がキスをする。
「ナッちゃん」
「ん?」
「好き」
「私も好き」
「ナッちゃん」
「ん?」
「大好き」
「私も大好き」
そして、また私の名前を口にした彼に、私から言った。
「冠くん、愛してる」
目の前で、大好きな彼のスマイルが広がった。
「ナッちゃん。僕の大事な、大好きなナッちゃん」
そして、優しく味わうようにキスをくれた彼が、そっと言った。
僕の愛しい女神、愛してるよ。
~ fin ~
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