第10章 三年後(つづき)

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出会った頃から、彼女の唇の柔らかさも甘さも、ずっと変わらない。 だから、それを合わせると同時に、どうしてもゆっくりと味わいたくなる。 そして、柔らかく愛撫するようにキスを重ねると、 少しずつ荒くなる呼吸の下で、彼女が徐々に溶けていく感触が堪らない。 だから、つい僕も唇への愛撫に熱がこもる。 そして、 「んふっ……」 こんな甘い吐息が零れてくると、僕は、待っていたとばかりに スルリと舌を滑り込ませる。 上顎を舌先で淡く擦り、その僕の舌を求めるように伸びてくる彼女の舌が 僕の中の欲情を煽ってくる。 そして、その欲のままに舌を絡めていくと、 じんわりと彼女の体が熱を帯び、それが更に僕の中の熱までも呼び起こす。 だからこの日も、もちろんそんなキスから始まった。
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