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 三人は部屋の中に通された。  男はお茶を入れて戻ってくる。  「すんません。大したもん、ないんですけど。えーと、ばあちゃんの知り合い、ですか?」  そう言いながら、湯飲みに入ったお茶を差し出してくる。  「ええ。そんなところです」  助手は礼を言いながら湯飲みを受け取ると、そう言った。  「どういったご関係です?」  「そうですね。僕らは付き添いみたいなもので、関係があるのは彼女なんですよ」  そう言って、助手は黒猫を指し示す。  黒猫は探偵娘のコートを着ているので、未だ探偵娘の姿のままだ。  そんな黒猫を、男は眉をひそめて見る。  「ああ。これじゃわかりませんよね」  そんな男に助手は笑って黒猫の着ているコートに手をかけ、  「?」  何をする気なのかと不思議そうに助手を見上げる黒猫のスキを突き、一気にコートを引っぺがした。  「!?」  「ちょ、あんた、なにを―――」  男の驚きの声は途中で途切れる。  なぜなら、コートを剥いだ先にいたのは、少女ではなく、一匹の黒猫だったからだ。
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