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 「薄々、あの人が孫だってのは気づいてたんじゃない? 匂いとか、普通わかるでしょ」  「そういうものかな?」  「そういうものじゃないの?」  「そういうものかー」  「だから、わざわざうちに依頼に来たんでしょ。とまれるなら、とまりたかったから」  「そういうものかー」  「で、何の御用で?」  「氏等はこの身をいじめて楽しいのか………?」  探偵娘と助手の目の前には、真新しい服に身を包んだ黒猫がいた。  「新品の衣装を着ると、誰かに化けるんじゃないんだね。人化って奴?」  「まあ、そうだ」  「ふーん。それが本当の君ってわけか。似合ってるじゃん」  「そ、それは、どうも」  「呼吸をするように女の子を口説くよね、あーちゃんって」  「何の話だ、なんの」  黒猫が助手に封筒を渡す。  「色々と助かった。礼を言う」  「はーい。毎度どうも。またご贔屓に」  そう言って笑う助手に、黒猫は目を背けながら、頬に朱を差して言う。  「もし、良かったら、ココで雇ってもらえないか?」  「いやうち、金ねーから。依頼がほとんど来ないんで、給料払えないから」  「そ、それなら。うーむ。うむ。そうだ。依頼を見つけてきてやる。人外の方の、だがな。そこで得た依頼料の一部を報酬としてもらいたい。それで、どうだ?」  「歩合制か。まあ。それなら、いいかな。でも、基本給はゼロ円だよ? いいの?」  「いいさ」  「………目の前でナチュラルにハーレムが拡大されていた!? あーちゃんのバカ! ちーちゃんに言いつけるんだから!!」  そう言って、探偵娘は最愛の助手の愛する妻に密告メールを送る。  『あーちゃんに猫耳娘が近づいた! 事務所で雇うって!!』  『詳しく聞かせてください』  メールを送ってからほぼノータイムで返信があったことに、少し薄ら寒いものを感じながら、探偵娘はチクリを続行するために、学生時代の後輩に電話をかけるのであった。
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