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 「あ。ねーねーあーちゃん、ねーあーちゃん」  「あんだよ」  上から飛び降りてきて、現在はなぜか男が背負っている、自分と同年の、二十代半ばの『少女』を見やる。  少女。そう表現をするしかないほどの幼い体躯。これは、小さな頃に事故に遭い、頭部に障害をもったため、成長ホルモンの分泌に支障を来してしまった結果だった。  そして少女は、身体の成長の代わりに高い知能を持つようになり、男を始めとした友人たちの助力もあって、探偵として知る人ぞ知る人間となったのだ。  しかし、少女の欠点は幼い体躯に留まらなかった。  「お客さんがきたよ~」  「はぁ!? お前、客がいるのにダイブしたのか!?」  「だって、あーちゃんがきたんだもん」  この通り、彼女は自分の欲望に忠実で、それこそ幼子のように自由奔放に過ごしていた。  そしてもう一つ。  血が何よりも苦手で、血を見ると気絶してしまうほどだった。  男はそんな少女の助手として現場に赴き、情報を持って帰り、彼女の推理の手助けを昔から続けていた。  警察とのパイプをもっているため、持ち込まれる事件には血なまぐさい物が多い。  それでも、持ち込みが絶えないのは、彼女が安楽椅子探偵よろしく、助手からもたらされる情報だけで、警察が手を出せない事件も見事に解決するその手腕のためであった。
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