chapter.1

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果たして彼女はそこに居た。 彼女の足元の水溜りがあり そこに美左が写っている。 その鏡像はまるで美右の様だった。 美左が着ている美右の服は雨で濡れている。 「アンタ…何でココが?」 「日記帳だよ」 彼方は日記帳を捲りまくった。 親指には紙に依る切り傷が出来ている。 そして、美左の書いた唯一の“声”を見つけた。 美右が花火を見てきた話しに対してのものだ。 『青野川の花火の方が断然キレイだから。 それも、丘の上から見るのが一番ね』 「それだけでココが…?」 「いや、分からなかった。 だから丘っぽいのを全部回ったんだ」 その為 彼方の服も汗と雨でびっしょりだった。 長時間自転車を漕いでいたので足が痛い。 「アンタ、結構バカ?」 「そうかもな」 美左は体を仰け反るほど大笑いした、 ひとしきり笑い終わると 涙を拭きながらポケットに手を突っ込む。 そして小さな瓶を取り出した。
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