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果たして彼女はそこに居た。
彼女の足元の水溜りがあり
そこに美左が写っている。
その鏡像はまるで美右の様だった。
美左が着ている美右の服は雨で濡れている。
「アンタ…何でココが?」
「日記帳だよ」
彼方は日記帳を捲りまくった。
親指には紙に依る切り傷が出来ている。
そして、美左の書いた唯一の“声”を見つけた。
美右が花火を見てきた話しに対してのものだ。
『青野川の花火の方が断然キレイだから。
それも、丘の上から見るのが一番ね』
「それだけでココが…?」
「いや、分からなかった。
だから丘っぽいのを全部回ったんだ」
その為
彼方の服も汗と雨でびっしょりだった。
長時間自転車を漕いでいたので足が痛い。
「アンタ、結構バカ?」
「そうかもな」
美左は体を仰け反るほど大笑いした、
ひとしきり笑い終わると
涙を拭きながらポケットに手を突っ込む。
そして小さな瓶を取り出した。
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