半身

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外から聞こえる鳥の声で、わしは目を覚ました。 時計を確認すると、六時前だった。 わしはもう一度眠ろうと目を閉じる。 だが、一度気になると鳥の声がうるさくて眠れない。 三十分もすると、わしは諦めて布団から出た。 昨日の残りの味噌汁を温める。 目玉焼きを焼いて、ご飯をよそう。 わしは仏飯を持って、和室へと向かった。 「……ほれ、母さん」 線香に火をつけ、手を合わせた。 ――彼の妻は、一週間前に亡くなった。 心筋梗塞で、彼はお別れを言う暇もなかった。 手を合わせ目を開けると、妻の遺影が目に入る。 そこに映る彼女は、死んだなどとは信じられないくらい、朗らかに笑っている。 「…………母さん」 彼はぽつりと呟いた。 ――あいつは、幸せだったのだろうか? あいつは人に好かれる人だった。 友だちや近所の人が、大勢葬式に来てくれた。 明るくて、楽しいおばあちゃんだったと、皆言った。 でもわしは、あいつとは真逆だ。 あいつのように人付き合いはよくないし、喋るのが得意でもない。 甲斐性もろくにない、給料も良くない男のところに嫁いで、幸せだったのだろうか?
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