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高校1年生の夏休み。
私は祖父母が住む湖畔の別荘へ遊びに来ていた。
祖父母から夏になると近くの湖で蛍が見れるそうだと話を聞いていたので、それを楽しみに。
毎夜1人で湖まで行っては蛍を探した。
夜空にはオリオン座、カシオペア座、北斗七星などの星座が輝きを放つ。
なかなか現れない蛍にしびれを切らし、夜空の星を眺めながらいると流れ星が見えた。
今度は何か願い事をしようと流れ星を待っているとまた流れ星が出たので急いで
「蛍が見れますように」
と、流れ星に願う。
本当は3回願い事を言わないと駄目だけど、速すぎてそんなに言えなかった。
再び湖を眺めていると、月明かりだけの薄暗い湖が急に明るくなった。
わっと何匹もの蛍が身体から光りを発して湖の水面を飛び回っていた。
私はその光景に歓喜の声をあげた。
「わぁーーーー」
正に光のイリュージョンと言えるだろう。
急に現れた蛍に私は一瞬で心を奪われた。
別荘に帰り、祖父母にその夜のことを聞かせると
「きっと、きぃちゃんの願いをお星さまが叶えてくれたんだよ」
と、祖母は微笑みながら言ってくれた。
私にとって忘れられない夏の思い出となった。
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