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「妻が妊娠したんだ。今、3ヶ月だって。」
「えっ…妊娠?」
それはあなたの子なの?
そう尋ねたいのに言葉が何ひとつ出てこない。
彼はテーブルの下で何かをギュッと握りしめた。
まさか私の殺意に気付いて、殺られる前に殺ってしまおうと思ってる?!
妻との間に子供ができたから邪魔な私を消してしまおうとしているの?
なんの凶器も持たず丸腰の状態の私の力では、彼の力には敵わないだろう。
思いもよらぬ事態に動揺して、テーブルに置いたワイングラスを倒してしまいそうになる。
ああ、でも私を殺せば、彼は一生私を忘れることはないだろう。
最期に視界に映るのが彼ならば、私はきっと幸せにこの人生を終えることができる。
憎むほど愛する彼に殺されるなら本望だ。
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