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じっと指輪を見つめたまま黙り込んでいる私の様子に不安になったのか、彼はためらいがちに私の手を握った。
「プロポーズの返事…聞かせてくれるかな?」
「うん…。」
「俺と、結婚してくれる?」
「はい…よろしくお願いします…。」
彼のたった一言で最後の晩餐はお祝いのディナーに変わり、私の嬉し涙で殺害計画は未遂のまま幕を閉じた。
殺されたのは私の中に芽生えたあなたへの殺意だけ。
「この先何があっても浮気だけはしないって約束して。」
「言われなくても絶対にしないよ。一緒に幸せになろうな。」
「うん、一緒にね。」
いつか息を引き取るその時まであなただけを愛することを誓うから、これから先のあなたの人生、命掛けで私だけを愛してね。
殺したはずのあなたへの殺意が再び息を吹き返さないように。
これからはつらく悲しい罪ではなく、二人の愛情を重ねて生きて行きましょう。
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