芽生えた殺意

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夜明け前。 明け方の冷たい空気にさらされた肌がブルリと震えて目が覚めた。 窓の外はまだ暗い。 あなたは常夜灯に照らされたベッドの上で温かそうに布団にくるまってぐっすりと眠っている。 冷えた体をさすりながら常夜灯を消して布団に潜り込むと、あなたは眠ったまま腕を伸ばして私を抱きしめた。 あなたのぬくもりが私の体を少しずつ温めていく。 それと引き換えにあなたの体は冷えていく。 まるで私があなたの体から体温を吸い取っているみたいだ。 あなたは眠っているはずなのに、私の体の冷たさに顔をしかめた。 このまま私の体で包み込んで、あなたの体温をすべて奪って殺すことができればいいのに。 あなたが眠っているうちなら簡単に殺せるのはわかっている。 だけど私がそれをしないのは、あなたが苦痛に顔を歪めて許しを乞う姿が見たいから。 私の愛とあなたの罪の深さを思い知り悔やんで欲しいから。 そして最期に私に対してどんな言葉を残すのかを知りたいから。 だから私は今日こそあなたを殺そうと心に決めて、冷えきった唇で眠るあなたに口付ける。 あなたが最期の時くらいは嘘つきなその唇で“愛してる”と囁いてくれるように。
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