芽生えた殺意

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どんなに愛し合っていても、どれだけ一緒にいても、このままでは一緒になることは愚か、彼の存在を誰に明かすことも出来ない。 彼を好きになるほど私の罪は重くなっていくような気がしたから、一緒に暮らして1年経っても何も変わらなければ潔く別れようと決めていたのだけれど。 1ヶ月ほど前から彼の帰りが異様に遅い日が増え、ようやく帰ってきたと思ったらろくに会話もせずに眠ってしまうことが続いた。 そんな日は決まって、スーツから私の知らない女物の香水の残り香がした。 妻との決着がつかないまま私と付き合いだした時と同じように、今度は私も捨てられるのかな。 因果応報って言葉もあるし、妻が受けた屈辱を次に味わうのは私ってこと? 私も同じことをしたのだから、それは自業自得だと言って誰も私を哀れんではくれないだろう。
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