芽生えた殺意

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誰も哀れんでくれなくても構わないけれど、妻を裏切ってまで待たせていた私を捨てて、また別の人を同じ目にあわせるなんて許せない。 だから私は、優しいふりをして悪魔のように罪深きこの男を私の手で殺してしまおうと決めた。 本当は彼の手で死ねたら一番いいのだけれど、彼が息を引き取るのを見届けたら、私は彼の腕の中で自分の命を絶つつもりでいる。 そうすれば彼は永遠に私のものだ。 それなのに。 私はもう何日も彼の命を奪うことを躊躇している。 今日こそは彼を殺して一緒に逝こう。 そう心に決めて、彼の唇に最後の“行ってらっしゃい”のキスをした。
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