クリエイト

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今、私達は、作品に最後の演出を加えていた。 仕上がった作品は、想像以上の出来だった。彼女は自分よりも綺麗だと言ったが、私にとっては彼女以上の人はいない。しかし、それでも十分な美しさではあった。 彼女の同僚だという女性は、自分の腕が私の制作した翼に変わるのを見ていた。腕を落とす間は、鳥のように鳴いていたが、その頃にはただ茫然と、その光景を見るだけだった。止血は彼女がしてくれた。看護師だけあって手際が良く、その周りに散った紅い染みも綺麗に拭い去ってくれる。 問題は下半身だった。会陰部の少し上から落とさなければならない。この女性がどれだけ生きていられるかで、仕事のスピードは変わってくる。 その作業の途中で、女性は驚くべき力を見せた。身体を捩り、果ては起こして噛み付こうとしてきたのだ。しかし彼女が巧く押さえてくれた。 その後は、スムーズに事が進んだ。そして案の定、半分ほど終えたくらいから身体の痙攣が始まり、八割ほどでその動きが止まった。私は残りを手早く切り離すと、次の段取りに入る。その傷口から、数本の針金を挿入するのだ。これで次の作業が楽になる。 後の処理は彼女に任せた。彼女がいるだけで、仕事の効率がかなり上がっている。私は感謝の視線を送った。 次に私が用意したのは、翼と同じ毛並みの、鳥の下半身だ。それを女性の上半身に繋ぐ。翼もだが、素材は柔らかく、関節部は可動式にしてあるので、どんな姿勢にでも変える事が出来る。それから、各々の接合部をパテで均すと、目と口を開いて醜い表情になってしまっている顔を整えた。喉にも針金を通す事は忘れてはいけない。後は硬直が始まる前に、あるべき場所に設置するだけだった。
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