天才ゆえの運命

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 これで問題なく、人工知能は機能できなくなり、新システムが組み込まれることとなる。  そしてこのホワイトハッカープロトコルには、耐ウィルス性を持ち合わせている為、破壊が困難であり、更に外殻は人工知能をコピーする為、単なる警報か、誤報で処理されるだろう。  ただし不法侵入で僕は捕まるだろう。  それでいいのだ。この為に、全てを賭けた。  そして勝利できたのだから。  警備員は僕を見付けて、警棒で僕を手加減なく殴り付ける。  咄嗟に丸くなるがお構いなしと言わんばかりの罵声と暴力。  意識が遠退く中、爆音が部屋を貫き、僕は誰かに捕まった。 * * * *  僕が目を覚ますと、見覚えのあるぼろ屋に、見覚えのある場違いなシルク製の白衣。  ちらりと目を見やると前とは違うが古い服を着た女性。 「目が覚めたかぃ?ったく、とんでもないガキだねぇ」 「比山博士!やったな!」  そこは隔壁の外側、荒れ地に佇んでいた彼らの家だった。  どれくらい経ったのかはわからなかったが、もう新システムは作動しているはず。  彼らも隔壁の内側へ入れるはずなのだ。 「――なんでここに?」  その問いになんの疑問も持たずにお姉さんは答えた。 「そりゃあんた、助けたからには、犯罪者だよ!」  お姉さんの話では、隔壁がウィルスにより扉を開くと同時に掘削機で、j.corporationに強行突破して、僕を助けたそうだ。
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