モウソウカノジョ。

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 割とどうでもよさげに屋上に入ってから、柵の方で腰を下ろした。  静かだ。なんか落ち着く。 「……なんだ、あんたいたんだ」  そんな声とともに彼女が姿を現す。 「まぁな」  そっけなく返事を返した。  すると彼女が隣まで来て腰を下ろしてから言った。 「……あのさ、今朝なんだけど」 「ああ、そういえば。どうしたんだよ、なんか怒ってるみたいだったし」 「ああ、うん……なんかね。……ごめん。怒った?」 「いや、全然」 「そっか、よかった……」  急にしおらしくなったりするところはすごく可愛い。 「で、どうしたんだよ。今朝は」 「なによ、彼女が彼氏にやきもち焼いちゃいけないわけ?」  はいはい、かわいいかわいい。 「やきもちって、あれは別にそんなんじゃないだろ」 「でもなんか仲良さそうだったし」 「……そんなことないよ」  あの子は基本的に誰にでも優しいだけだ。まぁ、たまに勘違いしそうになるけど……。 「ほんと?」 「ほんとだって」  彼女がこっちをじっと見て黙る。 「……なーんてね」 「……え?」 「冗談よ、冗談」 「なんだよ、それ」  彼女がいたずらっぽく笑う。  どうやらからかわれてたようだ。 「で、ほんとはどうなの?」 「なにが?」 「あの子のことよ。もしあの子に告白されたら、あんたはどう思う?」 「え、いや、まぁそりゃあうれしいけど」 「じゃあ付き合ってくださいって言われたら付き合う?」 「いや、何言ってるんだよ。俺にはお前がいるし」
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