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そこにはこう書いてある。
『放課後、屋上に来てください。待ってます』
その一文と、右下には差出人の名前が……え、まじで?
そこに書かれていたのは、今朝話したあの子の名前。
俺はつい反射的にあの子のいる席に目をやる。
すると、あの子もこちらを見ていたようで一瞬だけ目が合った。が、あの子は顔を赤くすると、すぐに黒板の方へと視線を戻してしまった。
あの子の反応から察するに、これはそういうことなんじゃないだろうか。
でもなんでだ。全く心当たりがない。
どっきりか罰ゲーム、と思ったがあの子はそんなことするようには見えない。
なんかもやもやする。
――そんなこんなで放課後。
あの子の姿はもう教室にはなかった。
「どうするかなぁ、これ」
「なにそれ?」
「急に出てこないでくれ。びっくりする」
「ごめんごめん」
気づけばそこには彼女がいた。いたずらな笑みを浮かべている。
「で、それがどうかしたの?」
彼女は俺が持っているメモ用紙を見つめる。
「えっと、それがさ……」
軽く説明を終えてから、いったん落ち着く。
「なるほど。あの子がねぇ……」
「ああ、そうなんだよ。どうしようか……」
「よし、今すぐ行くわよ」
「え、ちょっ、いや、でもっ」
「いいから、あまり女の子を待たせちゃだめよ。わかったさっさと行く! ほら早く!」
「ちょっ、待ってくれよ」
先に屋上へと急ぐ彼女。なぜだか少し、嬉しそうだった。
「早いって、ちょっと待って……」
息を荒くして、屋上の扉に続く階段の前でいったん立ち止まった。
絶賛運動不足中だった。
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