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信吾がはじめ彼女たちを紹介したときの言葉選びも、せなの話をきいた後だととても意味深にきこえた。それからここで信吾がふと漏らした「安い店」という言葉、その言葉の意味合いを察するとずしんとくる。
きっとこの信吾の言動全ては古着屋の三代目だからこそできたことだ。
全部が全部憶測にすぎない。しかし、そこは敢えて、心のうちにとどめておくことにした。信吾が躊躇したように、本来、わざわざ客人の素性を他者と語り合う必要などないのだ。とはいえ、いつにもましてさえた自分の推理に、意気揚々として笑みがこぼれた。
「ませたがきんちょめ」
「どういうことだよ」
信吾が自分の言葉の意味に何も気づかないので、それもまた面白かった。
この後、50年も前の西部劇を観ることになった。「セレクト渋いなあ」と笑ったら「ああ、ませてるってそういうこと?」と聞かれて、変にツボに入って爆笑が止まらなかった。
困惑した信吾が思春期の息子を持つ父親に見えたのはきっと、信吾が大人びて見えたからに違いない。
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