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サワの結婚が決まってから、サワとハルセの間に少しずつ距離が出てきた。
サワのお母さんが、婿になるコスガヤについて訊かれると、嬉しそうに話す。
「ええ、ホント、いいご縁があって」
「式はね、3月に」
サワにもお祝いの言葉をかけられる。
「おめでとう」
「お幸せに」
皇都で自分達だけの新居も用意されてて、不自由はない。
「あなたはまだ分からないかも知れないけど」
羨ましがられる。
「次はハルセちゃんね」
子供の頃から一緒にいたハルセ。
「彼氏もいないんですけど」
サワとの微妙な温度差。
かといって、ハルセがお嬢様たちと一緒にいるかということはない。たまにサワとハルセが一緒にいても言葉は少ない。
ハルセのピリピリした雰囲気に、サワが疲れた表情を見せる。
「サワ、どうしたの?」
生後3ヶ月を過ぎて首が座った姫宮を抱いたりら妃。
「すみません」
先に謝ってから、
「相談しようにも」
「誰もいなくって」
「寂しいことですね」
結婚前の花嫁には見えない疲労感。
「どうしたの?」
「ハルセは、話しかけても冷たいし」
「それをコスガヤに相談しても」
「うやむやな返事で、」
「このまま、結婚しちゃっていいんだろうかって」
「お母さんにいうと」
「もう準備してるのよ」
「何を言ってるの」
「しっかりしなさい」
「て怒られて」
涙が落ちる。
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