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生後半年を過ぎて。 ラピスの口の中に白いのが、見えてきた。 「乳歯のお手入れは、ガーゼで拭き取るだけでいいですからね」 婦長と二人でラピスの白い突起を見つめる。 「よだれもたくさん出て来て」 「順調です」 小さく産まれたラピスを、若い母親のあたしが心配しないように、婦長は他の赤ちゃんの話をしない。 この歯は、平均より遅いのかどうか、もわからない。育児本は、一切読んでない。 余った母乳をミルク配達して育っている赤ちゃんを、あたしは"青ちゃん"と呼んでた。 青ちゃんと比較もできない。女の子、ということだけ。 あちら側にも、まさか、つがいの宮妃の母乳とは言えないので、同じ頃に女の子を産んだ女性とだけしか言ってないそうだ。 ミヤに相談する。 「向こうにね、ちゃんとお母さんもいるんだし」 「て思ってたんだけど」 「急にこんなことになるなんて」 青ちゃんのお母さんが亡くなった。 小さな赤ちゃんを残して。 「3月末まで、母乳をあげることしかできないけど」 「それだけじゃ、なんか不安で」 「手紙、書いちゃ、ダメ?」 小さな子供を持つリーナが、オロオロする。 本来なら、なるべく内緒で済ませたかったが、ダメだと言えば、なおさら、彼女の不安は増すだろう。
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