エピローグ

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 病院のロビーには大勢の人だかり。  僕は躊躇することなく、沢山の花束を抱えた1人の少女に近付く。 「退院おめでとう」  少女は驚いたように、愛らしい眼差しを僕に向けた。その眼差しに、麻耶の眼差しが重なる。  ――やっと見つけた……僕の大切な人。 『元気そうで、嬉しいよ』  ――僕が君に相応しい大人になるまで……もう少し待ってて。 『必ず君を、迎えに行くから』  こぼれ落ちる涙を悟られないように……  少女に背を向け歩き出す。  ――今度君に逢ったら……  僕は君に交際を申し込み、プロポーズをするだろう。 『君はOKしてくれるかな』 ◇  ――2017年6月――  全ては予定通りに進んだ。  君を迎えるために、君の母親と養子縁組をし、家庭環境も整えた。  ただひとつ、予定にはなかったことがある。  僕は、君に謝らなければならない。  麗と交際し、いつしか僕は麗を愛してしまった……。  ――それでも君は……  僕を許してくれるかな。  僕の愛を、半分麗に捧げることを許して欲しい。  ――君が描いていた未来予想図。  白いチャペルで……  生まれ変わった君と……  永遠の愛を誓う。  ――僕たちの薬指には……  キラキラと輝くマリッジリング。 ――THE END――
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