プロローグ

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――2011年12月―― 「退院おめでとう」  病院のロビーで、見知らぬ青年に小さな花束を渡された。可愛いピンクのガーベラと白い霞草。 「……あの、あなたのお名前は?」 「賀川です」  青年は優しい笑みを浮かべ、私に背を向けた。  賀川という青年に見覚えはないが、その名前に胸がキュンと締め付けられた。 「麗(れい)、タクシー来たわよ。さあ、家に帰りましょう」 「……うん」  その青年の後ろ姿を目で追うが、沢山の人に紛れ見失う。私は医師や看護師に見送られ、沢山の花束を抱えタクシーに乗り込む。  ――大切な友達と一緒に。
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