夏……京都三条河原町

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 彼女から腕を絡めてくれた。  彼女から手を握ってくれた。  これはもう、付き合えるだろう!  せっかくの夏休みだ。早く彼氏彼女になって、色んな所に遊びに行きたい。  手を繋いだり、キスとかしてみたり、心も身体も開放的になる夏だし、もちろんその先も……  でも、夏休みに入ってからはアイは本格的にバイトを入れてるみたいで(彼女は実家近くの焼肉のチェーン店でアルバイトをしていた)、なかなか忙しいようだった。  やっぱり告白は、男からだよな。  直接会って言いたいのだが、なかなかその機会がない。  せめて彼氏や、好きな人の有無とかは聞いておきたい。  一緒にカラオケに行ってから一週間後、アイと電話で話す機会があった。    最初は、アイのバイト先での失敗談や大学の試験の出来など、他愛もない話をしていた。 携帯電話越しに、アイの少しかすれたような甘ったるい声を聞くだけで僕の頭の中はジーンとしびれたような感じにつつまれる。  それだけで、とても楽しい時間なのだけど。  でも、せっかくアイとこうして話しているんだから……  意を決して、一番気になる質問をぶつけてみた。
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