200?年 春……

4/5
前へ
/14ページ
次へ
 アイとはそれから、二・三日ごとにメールのやり取りをした。  僕からメールを送ることが多かったが、彼女からもよく色々な話題を振ってくれた。  言い忘れたがこの話は今から十五年ほど前の話だ。  ミス◯ルがデビュー10週年だったかのベストアルバムをリリースして、キム◯クが主演の型破りな検事のドラマが流行っていた。そんな時代だ。  ようやく二つ折りでカラーの携帯電話が主流になってきた頃で、やり取りはもっぱら携帯のEメール。相手がメールを読んだら「既読」がつくなんて便利な機能はないし。スタンプもないから、絵文字だって(*^^*)←こんなやつだ。  メール以外にも彼女と学食でご飯を食べながら他愛もない話をしたり、時たま夜に長電話をしたりした。  アイは実は、二浪して今の大学に入学していた。  だから歳は僕の二つ上になる。  大学生の二歳差は大きい。  人生経験の絶対量が違う。  それがそのまま、その人物の顔や言葉に現れる。  女の子で二浪って、あんまりいないからな。  僕の知らない所で色々と苦労してきたんだろう。  大人びた表情や、考え方をするアイに、僕はますますのめり込んでいった。  そして願わくば、彼女と釣り合う存在でありたい。そう思っていた。  思い返すと痛々しいくらいに背伸びしていた。すぐに告白!そんなガキみたいなことはしない。なるべくがっつかずに、余裕を持って接したい。そんな身の丈に合わないようなことを考えていた。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加