半分

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何年も前に建てられた古いお屋敷とばかりな平屋の木造戸建て。 中に住む人々は現代には敬遠されそうな昔堅気な古臭い考えを持つ祖父を筆頭に祖母、父母と二世帯で暮らす普通の家庭。 そこに私は産まれた。 祖父は古武術の達人と名を馳せ、祖母は書道・茶道・華道を嗜み、入り婿である父と父の実兄は敷地内にある道場の師範代。 母は今時珍しい専業主婦で、祖母の習い事に付き合って毎日楽しそうに忙しくしていた。 産まれた私は家族にとても大切に大切に育てられた。私の名前は家長である祖父が名付けてくれた。 祖父は私を鍛えるために古武術を教え、お陰で250㎝、22㎏ほどの鉄棒を軽々と振り回せるようになった。 祖母は手先の器用さを見込んで自分の習い事に私を付き合わせ、お陰で私は高校に上がる頃には各教室で教える側に推薦されるほどの腕前を持つようになった。 私には双子の兄がいる。 今、大学生となった私は兄のお陰で毎日友人と楽しく笑い会える日々を送っている。 ───私には中学に上がるまでまともに表に出れないでいた事情があった。
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