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「…あぁ…。
何て、綺麗な星空なのかしら…」
墨田ハツは…
目の前に広がる満天の星空をうっとりと眺めた。
「きっと…
このお空のどこかに、シロとクロがいるのね…。元気にしてるかしらねぇ」
彼女が長年、可愛がっていた二匹の白猫と黒猫…シロとクロは去年の秋に老衰で亡くなった。
ここは、札幌から遠く離れた田園の田舎町。
ハツは『墨田商店』という小さな店をもう長いこと、一人で切り盛りしている。
この店に買い物に来てくれるのは、もっぱら地元の人がほとんどだが、
近隣に有る『めぐみ高校』の生徒達も学校帰りに頻繁によく来てくれる。
「婆ちゃん!こんちはっす!元気してるかい?!」
「ねえ、聞いてよ!お婆ちゃん!今日、学校でこんな事が有ったのよ!」
と、明るく元気に話し掛けてくれる生徒達の話をハツは目を細めながら聞き、そして一緒に笑い合う。
彼らの笑顔を見るのがハツの何よりの楽しみだ。
…去年の秋までは…
シロとクロ…
二匹の猫達がここに一緒に、いてくれたのだけど…。
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