【発端】

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「ところで… 明後日、楽しみだなぁ。久々に墨田の婆ちゃんに会えるな!」 吉岡が話題を変えた。 「うん、そうだな!婆ちゃん、元気してるかなぁ」 と、私も笑顔で応える。 『墨田の婆ちゃん』というのは… 私と吉岡が高校時代に毎日通っていた通学路の途中に有った小さな店『墨田商店』を一人で切り盛りしている婆ちゃんである。 私と吉岡が三年間、JRで通ったその高校…『めぐみ高校』は、札幌市の隣のそのまた隣の田園の田舎町に有った。 通学時…私達は、駅から三十分近く歩いて高校へと通ったワケだが…その通学路の途中にポツンと建っていたのが… 墨田商店であった。 その店は、高校生達の『たまり場』となっていて、 かく言う、私と吉岡も何人かのクラスメイト達と一緒にその墨田商店にほぼ毎日、寄り道をした。 その墨田商店を切り盛りしていた婆ちゃんは、 とても優しい人でいつもニコニコ微笑みながら私達の話し相手になってくれた。 もちろん、私も吉岡も婆ちゃんの事が大好きだ。
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