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とある子爵家で、メイドをしていた。
私は旦那様の子供だが、亡くなった母がメイドだったため、家族とは認められなかった。
それでもこうして働かせてもらい、寝る場所にも食べるものにも困らず生活できていた。
同い年のお嬢様が受けている教育を、私は同じ部屋で聞き覚えることができた。
魔術も初級魔術を、お嬢様が練習するのを見て覚えた。
私はとても幸運だ。
奥様が指輪を池へ投げ入れ、落ちたから探すよう言われ一晩中水の中にいても。お嬢様の魔術の的にされても。
私は他の人より魔力が多かったので、寝込むことも死ぬこともなく、ここまで生きることができた。
お屋敷から馬車に乗せられ、街を出て森に捨てられて。さすがにもう駄目かと、抑えきれない魔力を必死で循環させていた。
諦めれば終わる。諦めればそこで死ぬ。
私はもう駄目だと思っていても、諦めていなかった。
今日増えたこの魔力を抑えつければ、明日まで生きられる。
なら、どこまでも諦めず成し遂げるのみ。
私はお屋敷で育ち、そこで習ったのだ。諦めたら、死ぬということを。
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