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「神様、お願いです。ユキちゃんともう一度合わせて下さい」 僕はお月様を見上げてお祈りをした。 辺りはすっかりと暗くなっている。 空には満天の星空がキラキラと輝いて見えた。 何度めの夜を迎えただろうか。 ユキちゃんが居なくなってから、僕はお月様に願いをかけるのが日課になっていた。 しばらくまともに寝ていない気がする。 頭がぼぅっとして、身体がやつれて来ているのがわかる。 それでも僕は構わない。 「ユキちゃんともう一度会えるなら、僕は何も惜しくない」 そう思って吠え続けた。 でも、本当は神様なんていないってこと、知ってる。 「この世界は無情」なんだって。 僕はあの日のことを思い出した。 ユキちゃんが居なくなったあの日。 なぜ居なくなったかは知らない。 朝は元気にランドセルをかついで学校に向かった。 けれど、いつもの時間になっても帰ってはこなかった。 それから数日が経って、ママがリビングで叫んだ。 「神様ぁ、私はどうなっても構いませんからぁあ。ユキを、ユキを蘇らせてくださいぃ!!」 ママは泣きじゃくりながら床を叩いていた。 その後ろでパパがママの背中に手をあてる。 「顔をあげるんだママ。神様なんていやしないさ。本当に存在するなら、ユキをこんな目に合わすワケがないじゃないか! こんな罪もない幼い子を……うぅ」 パパが言うことはいつだって正しい。 パパは偉いんだって。 でもね。 それでも、僕はユキちゃんを信じたいんだ。 ユキちゃんが前に言ってたことを。 「ねぇ、知ってる? お月様には女神様が住んでいて、願いごとをすると叶えてくれるんだって」 嬉しそうに、そう僕に話してくれた。 だから、僕は今夜も月に吠えるんだ。
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