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全4/7エピソード・完結
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僕は夢を見ていた。 しばらく寝ていなかったせいだろうか、かなり深い眠りに落ちたようだ。 そこは花や緑があふれる、公園のようなところだった。 遠くの地平線までつながる大地。 ポカポカと陽気で、僕はいつまでもそこで眠っていたかった。 「タ……ロ、タロ……」 僕を呼ぶ声がした。 暖かい。それでいて懐かしい声。 この声は……? 「ユキちゃん!?」 声のする方に振り返ると、そこにはユキちゃんがいた。 僕が慌てて駆け寄ると、ユキちゃんは跪いて僕を抱えてくれる。 「タロ。元気だった?」 「うん、僕は元気だよ。最近寝てなかったからずいぶんと眠いけど」 「そう。ちゃんと寝なきゃダメだよってママが言ってたよ。じゃないと疲れが取れないんだって」 僕は驚く。「ユキちゃん、僕の言葉がわかるの?」 「うん、そうみたい。不思議だね」 ユキちゃんは「ふふふ」と笑った。 「ねぇ、ねぇ、聞いて。僕ね、ユキちゃんにずっと会いたかったんだ。だから、ずっとお月様にお願いしてたんだよ。でもまた会えて良かったぁ。会いたかったよぉ、ユキちゃん」 僕はユキちゃんの懐に飛び込んだ。 「ふふふ。私もよ、タロ。タロがお願いしてくれたから、女神様が叶えてくれたんだよ。私は生き返ることは出来ないけど、タロが寝てる時なら好きなだけ遊んでいいんだって。だから今度からちゃんと寝ようね」 ユキちゃんは僕の頭を撫でてくれた。 嬉しくて尻尾が自然と揺れる。 「そうなの? 分かったよ。僕、今度からちゃんと寝るよ。なんだか起きてる方がもったいないね」 「ふふふ、そうね。でも寝てばかりもダメよ。運動をして、ご飯も食べて、勉強もしなくちゃ」 「僕、勉強は出来ないよぉ」 困った顔をすると、今度は僕の頬を摩りながら、「生きるってことがすでに勉強だってパパが言ってたよ」と小首を傾げる。 「そうなんだ。だったら僕は頑張って生きるよ」 ユキちゃんの胸に顔を埋め、鼻で目一杯の息を吸い込んだ。
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