姉の独白

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 また、良子は私から取れるものであればなんでもよいのです。例えば最初から良子の皿に乗っていれば手つかずのまま残飯となるピーマンやほうれん草も、私のものであればご馳走に見えるのか、良子は「半分頂戴」と喜んで頬張ります。母も「お姉ちゃん効果はすごいわね」と、最初から私の皿に山盛りの料理を盛るようになりました。私は良子からの「半分頂戴」が待ち遠しくもあったのです。  勘違いしないでいただきたいのは、私は良子のことを本当に愛しく思っていたということです。生まれつきゆるいカールのかかった薄茶色の髪、長いまつげに縁取られた大きな瞳に薔薇色の頬。良子は天使のようでした。薄く、形の良い唇から紡がれる声は少し高く、「お姉ちゃん」と鈴が転がるように私を呼ぶのです。髪色こそ真っ黒な私ですが、人からは「並んでいると二人ともお人形さんみたいね」と言われることも多くありました。  可愛い良子、愛しい良子。そう、私たちは幼い頃から仲の良い、似合いの姉妹だったのです。
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