姉の独白

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 良子が欲しがるのが、決して半分にとどまらないことに気がついたのはいつのことだったでしょうか。  小学六年生の頃の話です。その頃は、よく放課後に私の同級生が家に遊びに来ていました。何をするでもありません。ただ、お菓子を食べ、大きなテレビ画面でゲームをし、おしゃべりに勤しむ他愛ない時間です。けれど、私は小鳥のように騒がしい彼らといるよりも、自室でのんびりと本を読んでいる方がずっとよかった。話しかけられてもつい下を向いてしまったり、ビーズのように笑い声が連なるその間、手のひらを膝の上でこねくり回すことに始終したりしていました。  そんな態度が伝わったのでしょうか。気がつくと、私の友だちで、私に会いに来たはずの彼らは、随分楽しそうに良子と話をしているのです。笑い声の中心に良子がいる。年下という恩恵を全身に浴びながら、心地よさそうに。まるで昔から彼らは良子の友だちなのだと言わんばかりの振る舞いで、良子は渦の中心で笑っていたのです。
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