流れ星 ?

6/12
前へ
/12ページ
次へ
「仕事は大丈夫なの ?」 「今、休みを取って来てるから、全然、問題ないよ」 「いつまで ?」 「今度の日曜日まで」 「えっ ! ・・・じゃあ、運動会も見に来てよ !」 「ああ。絶対、見に行くよ」 「やったー !!!」 翌日からは、練習方法を少し変えた。 昨日は直線で走っていたのを、トラックを走る事を意識して、公園の内側を楕円状に走るようにした。 そうすれば、距離も長く出来るし、中央から見ていれば、フォームのチェックもしやすい。 「腕の振りは、後ろの方を大きくして !」 上田は、楕円の中心で、直樹の走りに合わせて回転しながらアドバイスした。 「前に出した脚は、もっと高く上げて !」 直樹は、そのアドバイスを取り入れ、走り方を変える。 「そうそう、いいぞ !」 こうして、直樹と上田達は、毎日、公園で練習を続けた。 そして迎えた、最後の練習になる土曜日。 「ハアハアハア・・・何秒 ?」 その日、何本目かを走り終えた直樹が、田上に聞いた。 「15秒64」 田上は、ストップウォッチを見せながら直樹に言った。 「やった ! 新記録だ !」 「良かったぞ ! 直樹。今までで一番良い走りだったよ」 上田が近寄って来て、直樹の肩を抱きながら褒めた。 「本当 !?」 「ああ・・・ちょっと休憩するか」 「うん」 三人は、並んでベンチに座っていた。 直樹は、田上が買って来てくれたペットボトルを開け、一口飲んだ。 「いよいよ、明日が本番だな」 上田が、直樹の肩に手を置きながら言った。 「うん」 「最初の頃と比べて、全然速くなったよ」 「おじさん達のおかげだね」 「そんな事ないよ。直樹が頑張ったからだよ」 直樹は、照れ臭そうにペットボトルを口にした。 そして、遠くを見つめながら、 「願い事って、叶うんだね・・・」 と、呟くように言った。 「えっ ?」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加