1人が本棚に入れています
本棚に追加
「この間の日曜日に、部屋の窓から星空を眺めてたら、流れ星を見つけて・・・」
「・・・」
「それで、急いでお願いしたんだ・・・」
「・・・」
「脚が速くなりますようにって・・・」
「・・・」
「そうしたら、おじさん達に会えて・・・本当に、脚が速くなれて・・・」
「そうか・・・そんな事があったのか・・・」
「でも、今から考えると、流れ星にしては動きが変だったなあって、思うんだよね・・・」
「・・・」
「ひょっとして、あれは流れ星じゃなくて・・・UFOだったんじゃないかなって・・・」
「・・・」
「もしかして、おじさん達って・・・宇宙人 ?」
ドキッ !!!
上田と田上は、慌てて両手で胸を押さえた。
二人の心臓が、はっきりと「ドキッ !!!」と叫んだように感じたからだ。
壁の薄いアパートなら、隣の部屋にも聞こえていたんじゃないだろうか、とさえ思った。
「なーんてね・・・そんな訳ないよね」
と言いながら、さっきまで真顔だった直樹は、笑顔に戻った。
それを見た上田と田上は、文字通り胸を撫で下ろしながら手を下ろした。
「これ、飲む ?」
直樹が、上田にペットボトルを差し出した。
「えっ ?」
「凄い汗かいてるから」
「・・・ああ・・・大丈夫、大丈夫・・・」
「そう・・・じゃあ、もうちょっと走ってもいい ?」
「もう、今日は、止めといた方がいいんじゃないか」
「えっ ?」
「明日が本番なんだから、疲れが残っても良くないだろ」
「・・・そうだね・・・じゃあ、今日は、これで帰ろうかな・・・」
と言って、立ち上がった直樹だったが、
「あっ、そうだ ! ・・・これ」
ポケットから、二つ折りの紙を取り出して、上田に渡した。
「運動会のプログラム」
「ああ・・・ありがとう」
「一応、裏に、ここから学校までの地図も描いといたから」
裏返してみると、手書きの地図が描いてあった。
「そのプログラム、入校証の代わりになってるから。忘れないでね」
「ああ」
「絶対、見に来てね・・・」
直樹は、二人に手を振りながら帰って行った。
最初のコメントを投稿しよう!