プロローグ

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ハッとして目を醒ます。 あたりを見回すと、それが夢だったことに気づいた。 嫌な汗が首筋に流れている。 それを拭いながら、車内は少しだけ騒がしくなっていることに気づき、ドアの上の電光掲示板を見ると“まもなく博多”というアナウンスが流れていく。 もうじき着くか……。 窓の外に目をやると、新幹線・のぞみはずいぶんと速度を落としていて、見知った街並みが見えてくる。 じっと目を凝らすとガラスに映り込む自分自身の顔。 年々、この世で一番嫌いだった男の顔にそっくりになっていく自分。 こんな男は要らない。 世には憚ってはいけない人間なのだ。 あの時やっぱり殺しておけばよかった。
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