1)始まりはアニコン

4/5
前へ
/39ページ
次へ
どんよりとした空気のまま、次の街コンの予約をする。 そこでも惨敗。 唯一連絡先を交換した男性とも、相性が合わずに1度食事をして終わった。 そんなある日、再び青年から連絡が入った。 少女と上手くいかなかったようだ。 慰めの文章を送る。 『いい子だし、すぐにいい人見つかるよ』 そう送信すると、既に気になる人が出来たと言う。 若い子って、切り替えが早いなぁ……。 それから少しして、映画と食事に誘われた。 前回同様、恋愛相談だ。 だいたい、予想はついていた。 少しだけ、お洒落をして、程よく抜き感を出して、『襲ったりしないから大丈夫よー』といった雰囲気を醸し出しつつ、車に乗って映画に向かった。 好きなアニメの感動シーン。 お互い同じようなところで号泣し、夕飯を食べながら映画のことで語り合い、車で送ってくれていた時、青年は妙にそわそわし始めた。 「どうしたの?」 「気になる人が出来たって言ったじゃないですか?」 「あーー、言ってたねぇ~……デート誘えそう?」 「あの、……あなたなんです!!」 いきなり何を言い出したんだ?と苦笑いするしかない。 「……一先ず落ち着こう、きっと、振られたばかりで動揺してるんだよ。雨だし……」 余裕ぶっているものの、私の頭のなかは錯綜していた。     
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加