第3章

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次の日。 天気予報を見るまでもなくザーザー降りの雨の日。 鬱陶しい傘を持ち上げても、隣には男前な横顔はいない。 今日は必修科目の授業じゃないからクリスはいない。 いつもだったら由貴とお昼を食べる時間帯なのに、と愚痴のようにこぼす。 1人で食べるチャーハンはいつにも増して美味しくなかった。 「はぁ…」 そんな日にはため息ぐらいついてもおかしくないだろう。 すれ違った女子グループがきゃあきゃあ喚くのをBGMに、俺は騒がしい教室に足を踏み入れた。 開始5分前の教室は後ろの方ばかり席が埋まっていて、1人でいるせいか倍くらい感じてしまう視線にたじろぐ。 そして、その視線から逃げるように前の方の席に腰を下ろす。 その俺の行動にまた後ろが騒がしくなって、すぐに後悔した。 これじゃ本当に見られてるのか自意識過剰なのかもわからないじゃないか。 またため息をついて前を向いた時だった。 「ねぇね」 「はい?」 肩を叩かれてびっくりして振り向くと、見知らぬ茶髪の男がニコニコしていた。 誰だ…? 少し考えてから、そろそろと前に視線を戻すとちょうど目の前にいた女の子が『きゃっ』と小さく悲鳴を上げて去っていった。 「あはは、面白いね! 君だよ、君。天然パーマの美人な君」 「え…俺…? 俺、男…」 「ぷはっ! 見りゃ分かるって!」 初対面とは思えないナチュラルさに、俺はまた首をかしげる。 どうやら俺の名前は知らないみたいだけど、クラスにこんなやついたっけか…?
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