第1章

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次の日。 入学式が終わって間もないというのに、俺たちは慌ただしい時期の真っ只中にあった。 俺の初めての私服にも関わらず、目ざとい周りは今日も俺を指差し何か言っている。 ……ヘン、かな。 おっと、話がそれた。 俺のファッションセンスは置いといて、問題は来週の月曜から始まる研修だ。 今日は金曜日だから、今日説明を聞き逃したら大変なことになる。 昨日も説明されると聞いて集まったけど、ただの自己紹介タイムで肝心なことは一つも分からなかったのだ。 それこそしおりらしきものも渡されていない。 …要するに、不満たらたらなわけだ。 落ち着こう。 クリスがくる前に整理しておこう。 昨日、俺たちは各々昼食をとった後、いくつかのクラスに分けられ例の自己紹介タイムを過ごした。 ちなみに俺はAクラス。 クリスはBクラス。 …由貴はAクラスだ。 AとBクラスは同じ教室で話を聞いたから、気まずいのは相変わらずだったけど、 同じクラスの由貴が躊躇いもなく俺の隣に座ったときは友達がまたできたって感じがして少し嬉しかった。 クリスは面白くなさそうな顔をしていたけど。 他のみんなも由貴が気になるらしくてチラチラ見ていたから、優越感でニヤニヤが顔に出そうで大変だった。 そしたら由貴に舌打ちされた…。 ごめん、由貴…… それでだ。
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