第1章

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入学式。 俺はなんとか大学入試をパスし、希望してい た大学の心理学科の会場に立っている。 スーツとネクタイで固められた体が鬱陶しい 。 だけど俺は前を向き、颯爽と歩く。 その理由は。 『うわ…あの人カッコイイ!』 『え? どこどこ?』 『本当だー! 同じ心理学科かな!?』 『めっちゃ顔キレイだよね!』 『うん、あれハーフかな?』 『えー?? それはどうだろ』 来た。 心の中でそうボヤきながら、しかし表面上は 無表情を貫き通す。 聞こえないフリでもしないと居心地が悪くて かなわない。 こんなときは早く知り合いを見つけるに限る 。 早く見つけて、本格的に知らぬ存ぜぬを通す のだ。 高校とはちがって、服から髪までカラフルに 色付けられた女子大生たちのキャピキャピと した声をスルーし、俺はスマホを取り出した 。 『今どこにいる?』
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