第1章

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ここで注意だが、この俺の友人クリスはフランスやらなんやらの外国人などではない。 純日本人だ。黒髪、黒目の普通男子。 もちろん本当の名前もクリスなんかじゃあない。 名前は、栗山 傑(くりやま すぐる)。 本名からも分かるようにクリスというのは、苗字と名前の頭の部分を合わせて呼んでいるニックネームだ。 これは俺からじゃなくてクリス本人からそう呼んでくれと言われたからだ。 昔からクリスと呼ばれていたから、栗山や傑では居心地が悪いらしい…。 本当かどうかは知らないけど。 ちなみにさっき呼ばれた光希(みつき)というのは俺のことだ。 三谷 光希(みや みつき)。 それが俺の名前。 …みたにじゃねーぞ。 「なんか光希は見つけやすいからいいな」 「えっ…それどうゆー意味?」 内心、はぁ?と言いかけたけどのみ込んだ。 まだクリスとはそんなに気の置けない関係にはなれていないから。 何しろ今日で出会って2日目だ。 出来立てホヤホヤ、大学に入って初めての友人に緊張しないはずはない。 できるだけ相手を刺激しないように首をかしげると、ふふんと鼻で笑われた。 「さぁ? ちょっと小さめだから?」 「なっ…! 平均身長だ平均身長! クリスが大っきいんだよ」 「バーカ、褒めてんだよ。かわいいってな」 「それは褒めてるんじゃなくてバカにしてるの間違いだろ?」 「へー? あーそう?」 ふんと拗ねてみせるとクリスの大きな手が降ってきた。 反応が一瞬遅れて、それを阻止する前にわしゃわしゃと髪をかき混ぜられてしまった。 「かーわいいなー! 光希チャンはー!」 「こ、こら! 頭撫でんな!」
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