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「おい」
堅苦しい入学式が終わり、クリスと合流したときだった。
再び同じ言葉で呼び止められた俺は躊躇いなく振り返った。
横から『チッ』と小さく聴こえたのは気のせいだろうか。
「クリス……おまえ、ここの大学だったのか」
「何か悪いかな? そっちこそ幾たび幾たび俺の前に現れるなんて…なに? 俺のこと大好きなワケ?」
「はっ! 随分な言い草だな。俺がどこに行こうと関係ないだろ」
突然始まった嫌みのオンパレードに目を白黒させていると、クリスが『なんでもない』と笑った。
いや、なんでもなくはないだろ。
これは俺が仲を取り持つべき……なのか?
えと…えと…
「お、お知り合い、ですか?」
「「は??」」
しまった、言葉の選択をミスった!
知り合いなのは見れば分かることだった…
しかもお二人とも俺と初対面ってワケじゃないから余計気まずい。
クリスの雰囲気もなんだかギスギスしてるし助けを求められる感じでもない。
なにを言えばもどうすればいいかも分からなくて、2人の間で視線を右往左往していると赤メッシュが俺をギロッと睨んだ。
「あっ…ご、ごめん…」
しょぼんと肩を落とし、これ以上余計なことをしまいと視線を落とす。
すると、ため息とともにクリスが俺の肩を引き寄せた。
「悪いけど今からこいつと飯食べに行くから。邪魔しないでくれるかな?」
「それは悪かったな。でも俺もこいつに用事あるんだ。その手を退けろ。おまえはいちいち触らないと気が済まないのか」
「は? 俺を変態みたいに言わないでよ。そっちこそ相変わらずの王様っぷりだな。光希の意思関係なくってか? 勝手すぎんだろ」
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