社長さんのホワイト

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。 。 。 。 。 。 。  リフレッシュルームの一角に、見慣れない来客達とフラッシュの閃光。仕立ての良さそうな三つ揃えの背広で指を組み替えながら談笑しているのが、この会社の代表取締役社長、その人だ。 「あれなに?」 「社長の取材だって」  ランチタイムの社員食堂。取材の様子を覗き見ながら、素朴な疑問に場が持ちきりになった。 「……社長のアレって、日サロですかね?いつも程よく健康的な顔色」 「ツヤツヤさせるのは、鍛えてる人特有の盛り方だよね」 「ボディビルですかね? それとも某”結果にコミットする”ジム? 」 「手を見ろ、日サロで焼くなら、指先まで抜かりなく焼くだろ?  手の甲は白い。よって機械焼きでは無い」 「手袋焼けした男性の多くは、ゴルフ場に生息する」 「ゴルフ?接待で?」 「ベタ過ぎて、うちの社長らしく無いなあ」  ゴルフじゃないんだよなあ。あの人、ガーデニング焼けなんだよ。ベランダ園芸男子なの。  ……皆さんが食べているそのプチトマト、社長が、社長室で作ったヤツだから。  秘密でもなんでもなく、発表すればいいのに。  あの日、僕の実家で猫除け・虫除けに良いと聞いて実践しているエコ堆肥を、社長に伝授した。     
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