1人が本棚に入れています
本棚に追加
とまあ、そんな僕らも成長して、花の高校一年生である。
「「行ってきます。」」
僕と兄、二人の声が重なると、母はいつもよりも機嫌が良くなる。
母親の笑顔を見て、こちらも気分が少し悪くなる。
別に母が笑顔になったからではない。
自分の家に背を向け、兄と学校の方へ歩き出す。後ろから母の声が聞こえる。
「差別なんかしたら絶対に許さないから~!」
いつも通りで感心感心。
ため息を一つついて、兄をチラリと見る。
兄と同じ顔、表情、仕草で振り向き返答。
「「わかってるよ!母さん!」」
僕の演技も完璧になったものだ。
最初のコメントを投稿しよう!