91人が本棚に入れています
本棚に追加
/260ページ
二人が仲良く遅刻して魔法師団の詰め所に行くと、入り口の前でレイルが待っていた。
「遅かったね、二人とも。さっそくで悪いけれど、ちょっと街までおつかいを頼めるかな?」
一応疑問系ではあったが、その細められた目は確かに語っていた。『遅れてきたんだから拒否なんかしないよな?』と。
無言でこくこく頷く二人に、レイルは折りたたまれた紙切れを渡した。
「そこに書いてあるものを揃えて欲しいんだ。制限時間は午後三時まで。それまでなら街をぶらついても構わないけれど、物はきっちり時間内に僕の所まで持ってくること。今日中に必要なものもあるから、もれはないように頼むよ」
「了解っす!先輩、さっそく行きましょう!」
「何でお前そんなテンション高いんだよ」
「それはその……えと、気のせいじゃないっすかね?」
じと、としたクロノの視線に射抜かれ、誤魔化そうと下手な口笛をふくギノア。彼の頭の中にデートという単語が浮かんでいたのは言うまでもない。
昨日までと変わらない、いつも通りの二人のやりとりに、レイルは人知れず微笑んだ。
「ともかくっ!副団長、行ってくるっす!」
「うん。気をつけてね」
「ちょ、ひっぱんなっつの。聞いてんのかよギノアッ!」
「レッツゴ~っすよ、先輩!」
最初のコメントを投稿しよう!