三章 一歩

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「そうだ!」 ぱっと顔を上げたギノアに、クロノは驚いて若干びくっとした。 「なんだ?願い事でも決まったか?」 「いや、そうじゃなくてですね!」 ずいっとクロノに顔を近づけたギノアは、神妙な面持ちで切り出す。 「俺は嫉妬深いんで、俺といるとき俺以外の人のことばっか構わないでくださいよ?」 「…は?」 言われた意味を理解できずに固まるクロノ。 そんなクロノに少し不満そうな表情をしたギノアは、固まるクロノの額に唇を押し当てる。 「―っ!?」 「わかったすか?」 そう言って悪戯っぽく笑ったギノアに、クロノは思わず頬を染めた。 「いやいやいやいやっ、意味わかんないから!」 「もう意味わかんなくてもいいですから約束してください!」 「はあぁぁぁぁぁぁっ!?」 「いーじゃないっすかぁ!それくらい!」 「お前の考えてる事が俺には理解できねぇ!」 そう言って立ち上がったクロノは逃げるように部屋をダッシュで出て行く。 ギノアもすかさず後を追って駆けて行く。 二人の攻防は廊下を走り回っているのを通りかかったレイルにこっぴどく叱られるまで続いたのだった。
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