10年前

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 リビングの窓に顔を貼り付けて娘が夜空を見上げていた。 「何かお願いでもするつもりかい?」  私がそう尋ねると娘はクルリと振り向き、こう言ったのだった。 「あのね、A国の人が幸せになれるようにお願いするの」  それだけ言うと、娘はまた窓に自分の顔を貼り付けた。  私達のやりとりを聞いていたのだろう。キッチンで夕食の後片付けをしていた妻が私に耳打ちしてくれた。 「今日学校で、貧しいA国のために募金活動があったのよ」  だから娘は流れ星にA国の幸せをお願いしようとしているのか。 「パパは何をお願いする?」  娘が今度はこちらを振り向かずに聞いてきた。  もちろん娘の幸せだ。
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