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リビングの窓に顔を貼り付けて娘が夜空を見上げていた。
「何かお願いでもするつもりかい?」
私がそう尋ねると娘はクルリと振り向き、こう言ったのだった。
「あのね、A国の人が幸せになれるようにお願いするの」
それだけ言うと、娘はまた窓に自分の顔を貼り付けた。
私達のやりとりを聞いていたのだろう。キッチンで夕食の後片付けをしていた妻が私に耳打ちしてくれた。
「今日学校で、貧しいA国のために募金活動があったのよ」
だから娘は流れ星にA国の幸せをお願いしようとしているのか。
「パパは何をお願いする?」
娘が今度はこちらを振り向かずに聞いてきた。
もちろん娘の幸せだ。
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