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睨む女性を軽く流し、クリムディは奥へと進んでいく
「何かしたのか?」
「…………まぁ、そうだな……うん」
何をしたんだ……と思いながらも聞く気になれず後ろをついて行く
ギルドマスター室と書かれた扉があり、クリムディはノックを三回し扉を開く
「勝手に入るなよ」
「……ノックはした」
そう言う事じゃないと思うんだけど
「したって言ってもな…………散らかってるな……」
「………………」
ギルドマスターの部屋なので紙束の山があるイメージはあったが、その他のゴミが多い
だが、机と思わしき場所に人は居ない、ざっと見渡しても見当たらない
「マスターさんは……どこ?」
「…………………………今から、禁句を言う……後ろに下がってろ……」
「は?」
一歩前に出て、深く息を吸い
「行き遅れ」
「ぬぁんですってぇぇっ……!!!!」
言葉と同時に紙束が爆発し、気付いた時には部屋の外に投げ出されていた
少しの間爆音や怒声が響く
数分後、所々焦げ目の付いたクリムディが扉を開けてくれた
「入っていいぞ」
「……ぇ?終わった?」
促され中へと再び部屋へ入ると、緩くウェーブのかかった明るめの赤い髪に同じ瞳の女性がニコニコと笑顔でソファーに座っていた
「初めまして、ユキシゲツバキ君……ふふ、そう警戒しないで?
貴方の事は異世界から来た勇者と共に来た子に聞いたのよ」
「共に来た?」
俺がここに来る前にいた………………あ、あいつか?
「その子の特徴は、そうねぇ……まず、口元しかみえないわ、それから堂々と貴方のストーカーしてるとも言っていたわね」
「知り合いだな」
「……どういう知り合いだ」
「去年会ったとき、開口一番に言われた」
『ストーカーを~してま~す!
あ、疚しい気持ちはないよ~?ただ~健全な気持ちだけで~変なことに~使わないから~!!』
「正面から言われたんだけど、変なことってなんだろうな?」
「「…………………………」」
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